世界一の、何
四つ。
窓辺の束の数。数えなくても分かってるけど、朝、いちおう数えた。
きょうは小雨。
窓を少し開けておいたら、湿った空気が入ってきて、
茎がまた、しっとりしちゃった。
乾かしたいのに。
晴れてくれないと困るのよ。
リンクには乗らない日。
放課後、寮の廊下の端で、軽く陸トレだけ。
ストレッチと、体幹と、跳ぶ前の姿勢の確認。
終わったところで、葵に見つかった。
「リンリン、仮装なにするの?」
は?
「世界一のを用意するに決まってるでしょ」
って言ってやった。
葵は「すごーい!」って、手をたたいてた。
何がすごいのか、聞かれなくてよかった。
だって、何を、とは言えないもの。
まだ、何も無いんだから。
世界一の、何よ。
自分で言っといて、分からない。
夕食の時間、食堂の窓は、クリームシチューの湯気で白く曇ってた。