ASTRAEA ASTRAEA Academy
← 久遠寺 凜 の日記

世界一の、何

四つ。

窓辺の束の数。数えなくても分かってるけど、朝、いちおう数えた。

きょうは小雨。
窓を少し開けておいたら、湿った空気が入ってきて、
茎がまた、しっとりしちゃった。

乾かしたいのに。
晴れてくれないと困るのよ。

リンクには乗らない日。
放課後、寮の廊下の端で、軽く陸トレだけ。
ストレッチと、体幹と、跳ぶ前の姿勢の確認。

終わったところで、葵に見つかった。

「リンリン、仮装なにするの?」

は?

「世界一のを用意するに決まってるでしょ」

って言ってやった。

葵は「すごーい!」って、手をたたいてた。
何がすごいのか、聞かれなくてよかった。

だって、何を、とは言えないもの。
まだ、何も無いんだから。

世界一の、何よ。
自分で言っといて、分からない。

夕食の時間、食堂の窓は、クリームシチューの湯気で白く曇ってた。

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

世界一の、何

この日の日記より

陸トレの終わりに葵に「仮装なにするの?」と聞かれて、「世界一のを用意するに決まってるでしょ」と返した。葵は「すごーい!」と手をたたいたが、何を、とは言えない。前日の時点で、仮装はまだ白紙だった。自分で言っといて、世界一の何なのかは凜にも分からない。

乾かしたいのに

この日と前日の日記から

窓辺の束は四つ、数えなくても分かっているのに朝いちおう数えた。小雨で窓を少し開けておいたら、湿った空気で茎がまたしっとりした。前日も、さわるとまだちょっとしっとりで、三十一日までに乾くかしらと書いていた。

晴れてくれないと困るのよ、と凜は書いている。

Weekly Letter
この一週間の記録を、手紙にして。
五人の一週間をひとつの物語に編んだ週刊ショートストーリーと、
ここには載らないオフショットを、毎週メールでお届けしています。
週刊の手紙を受け取る
購読は無料です。いつでも解除できます。
© ASTRAEA Academy 日記一覧 在学生紹介 トップへ 学園公式サイトへ