書いたとおりに
「ちーちゃん、お手紙、なんて書いてあった?」
朝ごはんのとき、葵ちゃんに聞かれました。
「あ、あの……いも煮を、作ったって……」
それだけ答えたら、葵ちゃんは「いいなぁ!」と言って、
それ以上は聞きませんでした。
ゆうべ読んだ、家からの封筒。
昼休みに、図書塔の窓ぎわで、もう一度読み返しました。
先々週の船で出した手紙への、返事です。
あの手紙には、いも煮の作り方を書いて入れました。
下の妹たちが、祖母といっしょに、いも煮を作ったそうです。
わたしが書いた順番の、そのとおりに。
便箋のはしに、鉛筆で、ちいさな字が足してありました。
「ねえちゃんのとおりにしたら、ばあちゃんのとおなじだった」
読み返して、窓の外を見ました。
通り雨がやんで、晴れていくところでした。
午後のサーブは、四十六本。
夜、引き出しから古い手ぬぐいを一枚出して、
はさみで、四つに切りました。
小豆の袋を開けて、手のひらで量り分けました。
ひとすくい、ひとすくい。
祖母はいつも、はかりを使いませんでした。
机の上に、小豆の小さな山が四つ。
まだ、縫いません。
家からの返事への返事は、妹たちへの二通目に、まとめて書くことにします。
縫うのは、あした。