内側から
「香りは、こっちのほうが強いのよ」
って、言ってやった。
あたしの部屋の戸口。四番目。
ノックの前に、ドアは開けておいた。内側から。
あたしが開けたんだから、あたしのタイミングよ。
四人が声をそろえて、口上。
あの口上、まだちょっと長いと思ってるけど、
四人でそろうと、まあ、聞けなくはないわね。
黒い帽子をかぶって、戸口に立った。
きのう一回で作った、とんがり帽子。
葵が「リンリン、魔女だ!」って、跳ねてた。
当然でしょ。世界一の魔女よ。
カーテンレールから外しておいた束を、一つずつ渡した。
ローズマリー。
まだ乾ききってない。だから、香りが強い。
千鶴は束を両手で包むみたいに持って、顔の近くに寄せた。
ルナは、においをかがずに、じっと見てた。
部屋には入れなかった。
入れるなんて、言ってないもの。
机の上には、もらった物を並べた。
真琴の白い紙。定規の線が引かれてて、上の端に「凜」って名前。
千鶴のお手玉。手ぬぐいで縫った、小さいの。
ルナの戸口で、いたずらの番になった。
「いたずらなんて子どもっぽいこと、しないわよ」
あたしはしなかった。
千鶴が、自分の頬かむりをほどいて、ルナに巻いた。
ルナは、外さなかった。
ちょっと、似合ってた。言わないけど。
午前は、夜明け前のリンクで30分。
ハロウィンだからって、休む理由にはならないの。
お開きのあと、部屋に戻ったら、
カーテンレールが、からっぽだった。
四つ、ちゃんと渡したんだから、当たり前なのに、
なんか——