ASTRAEA ASTRAEA Academy
← 夕凪 千鶴 の日記

納屋のツバメ

四十四本。

きょうのサーブの数です。
曇り空のアリーナは音がこもっていて、
晴れてきたら、高い窓から光が入りました。

晩ごはんは、鶏の唐揚げと、きんぴらごぼう。

凜ちゃんが、リンクにスズメが入ったと怒っていました。
梁の上にいて、ときどき降りてくるそうです。

わたしは、「追いかけると、奥へ逃げますよぉ」と言いました。

言ってから、祖母の納屋のことを思い出しました。

春になると、納屋にツバメが入ってきて、
弟たちが追いかけると、梁の奥へ、奥へ逃げていって……

そこまで話して、やめてしまいました。
あのとき祖母がどうやって外へ出したのか、
わたしは、見ていなかったんです。

夜、引き出しから、妹たちへの二通目を出しました。
水曜の便で出す手紙です。

途中で止まった一行を、読み返しました。

続きを書こうか、少し考えて、
書かないことにしました。

止まったところまでで、ちゃんと、いまのわたしです。
直したら、別の手紙になってしまう気がしました。

封筒に入れて、机の端へ。

あさっての朝に出す、二通目。

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

梁の奥へ

この日の日記より

凜のスズメの話に「追いかけると、奥へ逃げますよぉ」と言ってから、千鶴は祖母の納屋を思い出した。春に入ってきたツバメは、弟たちが追いかけると梁の奥へ逃げた。祖母がどうやって外へ出したのかは見ていなかったので、話はそこでやめた。

同じ夕食で、ルナは「暗くして、明るいほうを開ける。出る」とだけ言っている。

途中で止まった一行

この日と前日の日記より

妹たちへの二通目は、前日、家からの返事への返事のところで「それが、どれくらい……」と止まった。この夜読み返して、続きは書かないことにした。止まったところまでで、ちゃんと、いまのわたし。直したら別の手紙になる気がして、封筒に入れて机の端へ置いた。

Weekly Letter
この一週間の記録を、手紙にして。
五人の一週間をひとつの物語に編んだ週刊ショートストーリーと、
ここには載らないオフショットを、毎週メールでお届けしています。
週刊の手紙を受け取る
購読は無料です。いつでも解除できます。
© ASTRAEA Academy 日記一覧 在学生紹介 トップへ 学園公式サイトへ