納屋のツバメ
四十四本。
きょうのサーブの数です。
曇り空のアリーナは音がこもっていて、
晴れてきたら、高い窓から光が入りました。
晩ごはんは、鶏の唐揚げと、きんぴらごぼう。
凜ちゃんが、リンクにスズメが入ったと怒っていました。
梁の上にいて、ときどき降りてくるそうです。
わたしは、「追いかけると、奥へ逃げますよぉ」と言いました。
言ってから、祖母の納屋のことを思い出しました。
春になると、納屋にツバメが入ってきて、
弟たちが追いかけると、梁の奥へ、奥へ逃げていって……
そこまで話して、やめてしまいました。
あのとき祖母がどうやって外へ出したのか、
わたしは、見ていなかったんです。
夜、引き出しから、妹たちへの二通目を出しました。
水曜の便で出す手紙です。
途中で止まった一行を、読み返しました。
続きを書こうか、少し考えて、
書かないことにしました。
止まったところまでで、ちゃんと、いまのわたしです。
直したら、別の手紙になってしまう気がしました。
封筒に入れて、机の端へ。
あさっての朝に出す、二通目。