太い、って属性
日曜のピット。外側の欄に、〈押さない側の言葉、七瀬に、二回続けて届く〉を、青緑の鉛筆で、静かに書き込んだ。書く/書かないを並べて選ぶ手つきの、日曜の一行。書いた、で置いた、で終わる。この一行は、他の記録より一段、太い、と自分の側で判断した。太さの根拠は、二回続いた、って事実の外側の重み。太さの判断そのものを、内側の合図として置くのは、まだ、早い。月曜以降、この太さが、オレの行動の順を変え続けたら、その時、初めて、内側の合図として置く候補になる。今は、太い、って属性の記録だけで足りる。
工房で、青緑と深緑の予備を、澪川の側に届きやすい向きで、道具箱の一番奥の水色の布の上に、寝かせて並べた。取りに来る/来ない、は澪川の勝手、と口では言った。ただ、届きやすい向きに置く、って準備の動きに、オレの側は、既に、能動性を注いでいる。受け身と能動の細い境界の上、って言い方より、〈観察のための準備〉って独立した層として、オレの側の中に、置いておく。
夜のラウンジで、澪川が、青緑の予備を月曜の午後、位置のしるしの周りと七瀬の11歩の欄が繋がる瞬間に、取りに行く、と口に出した。急がない、で置いた。時間の距離を、静か側で置ける相手として、澪川の位置が、また一段、確かになった。
窓の外、通り雨、20:40に来て、10分で止んだ。工房の屋根に落ちる雨粒の音、いつもより、ひと粒ぶん、粗い。