二箱
午後の売店で、
棚を入れ替える音がしていた。
供給船の日は、
売店の景色が変わる日だ。
新しい棚には、
使い捨てカイロが並んでいた。
九月の二日目に、だ。
きのう、路面が冷え始めたのを
オレの手が知った。
きょう、船がカイロを運んできた。
オレの手と島の売店が、
同じことを言っている。
季節が、先回りしてきた。
冬のサーキットは、
指がかじかむと
ハンドルの情報が半分になる。
先回りされたままでいるのは、
性に合わない。
棚の前で少し考えて、
一箱、手に取った。
……いや、二箱だ。