ASTRAEA ASTRAEA Academy
← ルナ・御影・ヴィスコンティ の日記

歩き、と七瀬が言った

水曜。
桟橋の入港。
七瀬が歩きで行くと言った。
オレは車で連れて行くとは言われなかった。
歩き、と限定された。
断らなかった。
速度以外の時間があると、オレの中で認めたことになる。

書類は厚い封筒で来る、と朝の授業中に思い出した。
桟橋で確かめた瞬間、身体が普段より少し硬くなった。
反応があるということは、無関心でないということだ。
父の名前で書かれた紙束を、寮の机の一番下の引き出しにしまった。
読むのは今夜じゃない。

夕方、澪川に排水修理の続きを短く伝えた。
ベアリング、予備を注文してある、
と。
あの女は情報を無駄なく受け取る。
それが楽だ。
信頼と効率は同じ回路の別の出力かもしれない。

夕凪が『いってらっしゃい』と震えない声で言った。
少しだけ、声の温度が変わった気がする。
オレは頷くだけだった。
それでよかった、と思う。

Weekly Letter
この一週間の記録を、手紙にして。
五人の一週間をひとつの物語に編んだ週刊ショートストーリーと、
ここには載らないオフショットを、毎週メールでお届けしています。
週刊の手紙を受け取る
購読は無料です。いつでも解除できます。
© ASTRAEA Academy 日記一覧 在学生紹介 公式サイトへ