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雨の手順

雨の音で目が覚めた。

屋根を叩く細かいやつだ。
路面が完全には濡れきらない量。

いちばん難しい雨だ。

目を閉じたまま、手順を並べた。

タイヤの空気圧を少し落とす。
進入は一段手前から。
アクセルは踏み込まず、じわりと乗せる。

そこまで並べて、気づいた。

並べる相手が、もう島にいない。

車は昨日の船で出た。

頭の中の手順だけが、
いつもどおりの時刻に起きて、
いつもどおりに動いていた。

昼、車庫の前まで行った。

中には入らなかった。
入る用事がない。

雨が屋根の樋を伝って、
細い線になって落ちていた。

その音は、車があったころと同じだ。

音は変わらない。

変わったのは、
オレがそれを聞いている理由のほうだ。

夜は豚バラ大根。

久遠寺が大根をひとつ残していた。
理由は聞かない。

手順というのは、なぞるだけでも
腕に残っていくものなのか?

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

並べる相手

この日の日記より

雨の音で目が覚めて、目を閉じたまま手順を並べた。空気圧を少し落とす、進入は一段手前から、アクセルはじわりと乗せる。そこまで並べて、並べる相手がもう島にいないと気づいた。

8月25日の夜も、雨の前に目を閉じて頭の中でコースを一周していた。

聞いている理由

この日の日記より

昼、車庫の前まで行って、中には入らなかった。樋を伝って落ちる雨の音は、車があったころと同じ。変わったのは、ルナがそれを聞いている理由のほう。

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