跡は残っていた
足の裏が、久しぶりに
アスファルトの粒を拾っている。
いつもならタイヤ越しに来る情報だ。
きょうは靴底から直接来た。
サーキットを歩いた。
一周1.8km。二十二分かかった。
車なら一分二十秒台の距離だ。
歩くと、路面は別のものになる。
第一コーナーの立ち上がり。
そこに黒い跡が残っていた。
火曜の十八周ぶんだ。
濃いところと薄いところがある。
濃いのは、荷重がうまく乗った周だ。
跡は、順番までは教えない。
どれが四周めで、どれが九周めか、
路面は区別しない。
だが、残っている。
オレしか見ていない場所で出した半段が、
黒い線としてまだそこにある。
通り雨のあとだから、
本当はもっと薄くなっていていいはずだ。
薄くなっていなかった。
第三コーナーの先で、
しゃがんで指で触れた。
ざらつきがある。
ゴムが粒に噛んだままだ。
夕方には晴れて、
西日で跡が余計に濃く見えた。
歩いて戻る途中、フェンスの外の道を
七瀬が浜のほうへ下っていった。
手を上げてきたので、上げ返した。
きょうの数字。
1.8km、二十二分、跡は残っていた。