順番がひとつ余る
「お荷物、先に届いていますよ」
宿の人にそう言われた。
水曜の便で送った箱が、
オレより先にここへ着いている。
部屋に運ばれた箱を開けて、
中身を順番に出した。
工具。予備のパッド。
グローブ。ヘルメット。
いつもの順番だ。
車庫でやるのと同じ手つきで
出していけばいい。
最後に、手が空いた。
順番がひとつ余った。
島なら、ここで戸を引いて
車体に触りに行く番だ。
その車は、まだ会場の倉庫にある。
だから、余る。
窓を開けた。
車の音がする。人の声もする。
遠くで工事の音もしている。
島の音がしない。
波でも風でもない音が、
一晩じゅう続くらしい。
Allora(さて)。
明日は車のところへ行く。