人が先に帰る
四本のタイヤを、
まとめて一つに縛った。
撤収の日だ。
車は積載車に載せた。
工具箱は角の丸いレンチごと閉めた。
車とタイヤは、
次の水曜の便で島へ戻る。
オレは明日の臨時便で先に帰る。
行きと逆だ。
行きは荷が先に着いて、
オレがあとから追いかけた。
帰りは、オレが先に着いて、
車があとから追いかけてくる。
つまり月曜と火曜、
島にオレは居て、車が無い。
先週の三日と同じ状態が、
向きを変えてもう一度来る。
宿の部屋で荷物をまとめた。
来たときと同じ順番で詰めたら、
最後に、また手が空いた。
今度は余ったんじゃない。
置いていくものが有るからだ。
会場の倉庫に車がある。
それを置いて先に帰る。
これは、来たときの余りとは
別の種類の空きだ。
言葉にすると近いのに、
中身が違う。
そういうものが、
この一週間でいくつかあった。
夜、宿の食堂で食べた。
魚のフライと、パンだった。
島の夕食が何だったかは知らない。
明日には分かる。
栗ごはんだといい。