皮むき
12周。
新品のタイヤを履かせた。
おろしたてのタイヤは、
表面がつるつるしている。
最初の何周かは、
路面を噛む前に、ほんの少し滑る。
削れてざらついてくると、
ようやく、タイヤが道をつかむ。
皮むき、と呼ぶ。
8周目あたりで、
ハンドルに返ってくるものが変わった。
そこから4周は、
そのまま走らせて覚えた。
昼前、ラウンジを通った。
澪川がプリンターの前に立っていた。
横の蓋のすきまから、
紙の端が出ていた。
蓋を開けて、紙を抜いて、閉めた。
プリンターの紙詰まりは、
だいたい同じところで起きる。
タイヤより簡単だ。
うしろで何か言いかけていたが、
聞こえる前に廊下に出た。
夕食は鰆の西京焼き。
皮の焦げたところが、いちばんうまい。