先に数えられた
「ルナっぴは? 競技以外」
「ない」
夜のラウンジで、七瀬に聞かれて、
そう答えた。
嘘は言っていない。
だが、言い終わる前に、
ほかの四人が数えはじめた。
「きのう、プリンター直してた」
と七瀬。
「この次第が五枚そろったのは、
ルナのおかげです」
と澪川。
夕凪は小さくうなずいていて、
久遠寺は「紙詰まり係ね」と言った。
オレが「ない」と言ったものを、
オレより先に、四人が数えた。
訂正はしなかった。
昼すぎ、船で届いた荷物の中に、
テラスの電球の替えがあった。
十五夜の晩から切れていたやつだ。
職員が脚立に乗って付け替えるのを、
下から見ていた。
夕方、点けてみると、
テラスは元の明るさに戻った。
月見の晩の暗さを知っていると、
元の明るさが少し明るすぎる。
天ぷらは、舞茸がうまかった。
明日は測定だ。
路面が乾いていればいい。