空き瓶
ぽん、と玉が落ちる音がした。
授業のあと、
図書塔の席で、ラムネを開けた。
朝、席に着いたら置いてあった。
一本だけ。
名前も、メモもない。
誰が置いたのかは、聞かなかった。
聞かなくても、見当はつく。
こういう置き方をするのは、
島に一人しかいない。
冷えてはいなかった。
売店の棚に一晩いた温度だ。
小雨の日のラムネは、
ぬるくても、喉を通るときに
炭酸がちゃんと刺さる。
飲み終わって、
瓶を傾けると、
中で玉がころがった。
瓶は捨てずに、
澪川の机の端に置いてきた。
本人は本棚のほうに行っていて、
机には鞄だけがあった。
返す理由は、とくにない。
受け取ったものの、
空になった分を返すだけだ。
きょうは走らなかった。
雨で、路面が落ち着かない。
夕食のホイル焼きは、
開けたとき、きのこの匂いが先に来た。
瓶は、置いた奴のところへ返した。