一行目で止まった
おなかのなかが、まだぽかぽかしてる。
今季はじめての、おでんだったから。
今週は、十種の道具を
道具庫に仕舞わないで、
トラックの脇の棚に出したままにしてある。
先週は日曜に、ぜんぶ片付けたけど、
今週は、なんとなく、そのまま。
円盤も、ちゃんとそこにいる。
夕食のおでんはね、
大きいお鍋がテーブルのまんなかに来て、
みんなで好きなのを取る方式だったの。
最後の大根に、
葵とリンリンのお箸が同時に行って、
どっちが先かでもめてたら、
ルナっぴが横からすっと取っていった。
ふぁっ⁉ ってなった。
そのあと、みんなお鍋のそばに
寄っていったから、
いつもの席順が、ぐちゃぐちゃになっちゃった。
夜、部屋で、
測定の表を裏がえしてみた。
白いとこに、
「競技以外」って書いてみたの。
水曜の夜からずっと、
頭のすみっこにいたやつ。
十一月の発表会で、
葵がなにをやるのか。
とりあえず、思いつくのを
ぜんぶ書き出してみよう、って。
一行目に「食べる」って書いた。
そこで、鉛筆が止まった。
二行目が、ぜんぜん出てこない。
表をたたんで、ベッドにごろんってした。
……大根は取られちゃったけど、
ちーちゃんが自分のを
半分こしてくれたんだよね。
おだしがしみしみで、
いままで食べた大根のなかで、
いちばんおいしい半分だった。