二行目の白いとこ
きょうの空は、雲がひとつもなかった。
トラックのまんなかで上を見たら、
青いのしかなくて、
ちょっとくらってした。
その空の下で、
ハードルを八台並べて、六本。
一台目の前で、いっつも脚がうずうずする。
八台目を越えると、もう一本やりたくなる。
六本でやめたの、えらいと思う。
夕ごはんは、豚の生姜焼き。
キャベツの千切りが山もりで、
タレのしみたお肉を
キャベツでくるんで食べるのが、
葵のいちばん好きな食べかた。
もぐもぐしながら、みんなに白状した。
「あのね、発表会の表、
まだ一行目の『食べる』だけなの」
まこるんは眼鏡を押さえて、
「……一行目で、止まってるんですか」って。
リンリンは「あんたらしいじゃない」って笑ってた。
で、ついでに聞いてみたの。
「ルナっぴの競技以外って、ほんとにないの?」
先週は「ない」って、すぐ返ってきたのに。
きょうのルナっぴは、なにも言わなかった。
生姜焼きをさいごまで食べて、
お味噌汁を飲んで、
すっと席を立っちゃった。
怒ったのかなって思ったら、
ちーちゃんが小さい声で
「ルナちゃん、たぶん、いつもどおり……」って。
たしかに、ルナっぴは
いつも食べ終わったらすぐ行っちゃう。
でも、きょうの「なにも言わない」は、
先週の「ない」と、
なんかちがう気がしたんだよね。
部屋にもどって、表をひらいた。
一行目、「食べる」。
二行目、まだ白いとこ。
あしたの夜はシチューだって!
二行目は、あしたのお楽しみ。