ASTRAEA ASTRAEA Academy
← ルナ・御影・ヴィスコンティ の日記

借りたもの

21時半。

食堂の職員が、片づけの最後に
台ふきんを絞っていた。

カウンターの端に、
キッチンタイマーが三つ並んでいる。

白いのを一つ指さして、
「これ、借りる」と言った。

職員は、何に使うのかを聞かなかった。

「返すときは、ここにね」とだけ言った。

月曜は、走らない。

マシンは車庫で冷ましておく。
オレも、同じように冷ましておく日だ。

夕食は、豚の生姜焼きだった。

食べている途中で、七瀬に聞かれた。

競技以外は、ほんとうに無いのか、と。

先週、同じことを聞かれて、
「ない」と答えた。

きょうは、何も言わなかった。

言うことが見つからなかったのか、
言わないことにしたのか。
どっちなのかは、オレにも分からない。

最後まで食べて、席を立った。
いつもと同じ順番だ。

部屋に戻って、タイマーを机に置いた。

表示は、0:00。

ボタンは三つある。

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

何も言わなかった

この日のルナの日記より

先週の「ない」は答えだったが、きょうの沈黙には本人も理由をつけられない。言うことが無いのか、言わないと決めたのかも分かれていない。食べて席を立つ順番だけが、いつもと同じだった。

これ、借りる

この日のルナの日記より

用途を言わずに借りたタイマーに、職員が求めたのは返す場所だけ。ルナは何に使うかを説明しないまま、部屋へ持ち帰れた。机の上には道具があるが、表示はまだ0:00のままだ。

借りたタイマーで何を計るつもりなのかは、この日の日記には書かれていない。
週刊の手紙

Weekly Letter
この一週間の記録を、手紙にして。
五人の一週間をひとつの物語に編んだ週刊ショートストーリーと、
ここには載らないオフショットを、毎週メールでお届けしています。
週刊の手紙を受け取る
購読は無料です。いつでも解除できます。
© ASTRAEA Academy 日記一覧 在学生紹介 トップへ 学園公式サイトへ