借りたもの
21時半。
食堂の職員が、片づけの最後に
台ふきんを絞っていた。
カウンターの端に、
キッチンタイマーが三つ並んでいる。
白いのを一つ指さして、
「これ、借りる」と言った。
職員は、何に使うのかを聞かなかった。
「返すときは、ここにね」とだけ言った。
月曜は、走らない。
マシンは車庫で冷ましておく。
オレも、同じように冷ましておく日だ。
夕食は、豚の生姜焼きだった。
食べている途中で、七瀬に聞かれた。
競技以外は、ほんとうに無いのか、と。
先週、同じことを聞かれて、
「ない」と答えた。
きょうは、何も言わなかった。
言うことが見つからなかったのか、
言わないことにしたのか。
どっちなのかは、オレにも分からない。
最後まで食べて、席を立った。
いつもと同じ順番だ。
部屋に戻って、タイマーを机に置いた。
表示は、0:00。
ボタンは三つある。