四分十二秒
十三時すぎ。
図書塔から食堂に向かうとちゅうで、
掲示板に、新しい紙が一枚ふえてるのを見つけた。
「十月十日(土)開校記念日 授業なし
十二時 食堂 特別メニュー」
授業なし!
いちばんに見つけたの、たぶん葵。
土曜の朝、なにしよう、って考えて、
すぐ決まった。
みんなの「競技以外」を見学しに行く。
葵の表は、まだ一行目の「食べる」だけ。
みんながなにしてるか見たら、
二行目が出てくるかもしれないでしょ?
夕ごはんに行ったら、
食堂の冷蔵庫の上の段が、
紅白まんじゅうの箱でぎっしりだった。
朝の船で来たんだって。
「十日まで開けないでください」
って貼り紙つき。
……見なかったことにした。
見てると、おなかが鳴るから。
夕ごはんは、鰹のたたき。
これも朝の船で来たやつ。
きょうこそ、と思って、
ごはんの一杯目、本気で食べた。
ピッ。
「4分12秒」
きのうより、三十八秒も速い!
「やったー!」って言ったら、
リンリンに「ばっかじゃないの」って言われた。
でも、そのリンリンが、
ルナっぴのノートをのぞいたとたん、
「何を数えてんのよ!」っておっきい声を出した。
リンリンの欄に、正の字がいっぱい。
きょうだけで、七回。
「世界一」って言った回数なんだって。
それで、みんなでタイマーを取り上げて、
こんどはルナっぴを計ることになった。
まこるんが決めた項目は、
ごちそうさまして、立つまで。
いっつもいちばんに立つルナっぴなら、
すぐ終わるやつ。
スタートのボタンは、葵が押した。
ルナっぴは、ごちそうさまをして、
お箸を置いて、
……立たなかった。
リンリンが「ちょっと、いつまで座ってるつもり?」って言ったら、
「まだ計られてる」
だって。
それからずっと、みんなで座ってしゃべってた。
土曜の朝は、見学の日。
それから、四分十二秒は、葵の新記録です。