計られる側
計るのは、簡単だ。
ボタンを押して、止めて、書く。
きょうも、夕食で計った。
澪川、2.1秒。きのうと同じ。
七瀬、一杯目、4分12秒。
夕凪の「ひゃ」は、三回。
久遠寺の「世界一」は、線で七本。
七本目を引いたところで、
久遠寺がノートをのぞいた。
何を数えてるのか、と怒鳴られた。
それから、タイマーを取られた。
項目は、澪川が決めた。
皿が空いてから、椅子を離れるまで。
スタートを押したのは、七瀬だ。
食べ終わった。箸を置いた。
立たなかった。
久遠寺に、いつまで座っているのかと聞かれた。
「まだ計られてる」と答えた。
理由を聞いたやつは、いなかった。
それで、四人とも座ったままになった。
七瀬が土曜の朝の話をして、
澪川がそれに予定を足して、
夕凪がうなずいて、
久遠寺が全部に文句を言った。
オレは、それを聞いていた。
食堂の灯りが半分落ちたところで、立った。
タイマーは、見なかった。
鰹は、朝の船で来たものだそうだ。
皮のところが、香ばしかった。