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← ルナ・御影・ヴィスコンティ の日記

鍵

雲が低くて、サーキットの向こうの海と、
空の境目が見えなかった。

16周。

曇りの日は、路面の温度が上がらない。
一周目と十六周目で、ほとんど変わらない。

変わらない路面では、
こっちの誤差だけが、そのまま見える。

走り終えて車庫に戻ると、
入口に七瀬がいた。

「あした、ルナっぴの見学していい?」

何を見るのか、とは言わなかった。

「勝手にしろ」と答えた。

七瀬は「やったー」と言って、
次のところへ走っていった。

寄宿舎の入口が、臭かった。

銀杏だそうだ。

七瀬は、あれを食べる気でいる。

土曜の朝は、マシンの手入れをする。
いつもの手順だ。

車庫の鍵は、開けておく。

Reading Notes 読み解き この日までの日記から

誤差

この日のルナの日記より

路面の温度が変わる日は、走りの違いに路面の変化も混じる。きょうは一周目と十六周目の条件がほとんど同じで、ルナ自身のずれを見つけやすい。変わらない路面が、自分の走りを比べる相手になっている。

鍵

この日のルナの日記より

口では「勝手にしろ」とだけ答えたが、車庫には入れるようにしておく。手入れもいつもの手順のままで、見学向けに何かを用意するとは書いていない。七瀬が来られるように変えるのは、鍵を開けておくところだ。

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