横線
計時器なんて、ただの箱だと思っていた。
13周目、コントロールラインを抜けたところで、
表示が出なかった。
前の周のタイムも、その周のタイムも、
何も映らない。
受信部が死んだらしい。
止まる理由は無いので、
15周まで、そのまま走った。
数字の無い周は、
エンジンの音が、いつもより近かった。
ピットに戻って、ノートを開いた。
13周目と、14周目と、15周目。
タイムの欄に、横線を一本ずつ引いた。
夕方、事務室で、本土へ部品を頼んだ。
水曜の便に載るはずだ、と言われた。
あと二日。
夕食は、鮭を味噌で焼いたやつだった。
七瀬が、皿の上の味噌だけ先に集めていた。
部屋に戻って、もう一度ノートを見た。
ただの箱が一つ黙っただけで、
頁に、空いた欄が三つ。
並んだ横線、三本。