裏のストレート
「鳴ったら鳴ったでいいだろ」
夕食のとき、七瀬にそう言った。
七瀬は、腹の音を気にしていた。
授業中に二回、と言っていた。
鳴るものは、鳴る。
止める理由が、オレには分からない。
七瀬は、それも紙ナプキンに書いていた。
午後は、計時なしで16周。
部品が来るまで、タイムは出ない。
裏のストレートで、
タイヤの鳴る音が、いつもより高く聞こえた。
いつもより高いのか。
いつもは、聞いていなかっただけなのか。
次の周も、同じ場所で高かった。
その次の周も。
ピットでノートを開いて、ペンを持った。
「裏のストレート」と書きかけて、
そこで止めた。
16周、とだけ書いた。