三つ目のコーナー
雨の桟橋で、木箱が一つずつ下ろされていった。
荷札を、端から見た。
部品の箱は、無かった。
事務室で聞くと、本土で品切れだと言われた。
次の水曜の便に回る。
あと七日。
桟橋の先に、夕凪がいた。
傘の下で、出ていく船を見ていた。
オレが戻るときも、まだ見ていた。
昼すぎに、雨が上がった。
路面が乾くのは、待たなかった。
計時なしで、10周。
濡れたアスファルトでは、タイヤの声が低い。
三つ目のコーナーに入るところで、
左から、風が押してきた。
次の周も、同じ場所で、同じ向きだった。
晴れた日にも、吹いていたのかもしれない。
晴れた日は、表示の数字を見ていた。
ピットで、ノートを開いた。
ペン先が、余白の上で止まった。
紙に、小さな点が一つ残った。
周回数の欄に、10、と書いた。
夕食のあと、七瀬の練習とやらにつきあった。
誰も喋らない時間が、何分か続いた。
七瀬の腹が鳴って、四人が笑った。
台所の奥からも、笑い声がした。
ルナっぴも笑った、と七瀬が言った。
そうなのか。
明日は、走らない。