待つ、待たない
十六時すぎ、サーキットに出た。
曇り。風はない。
16周。
9周目と10周目に、奥のコーナーの出口を確かめた。
今週、三回目だ。
入口は同じ。腰の下がふっと軽くなる瞬間を待つのも、同じ。
出口で、車が前へ出るところ。
9周目は、前へ出る前に、ほんの少し待つ。
10周目は、待たない。
待つ、と書くと、違う。
待たない、と書くと、それも違う。
違いは、まだ言葉にならない。
ならないまま、16周目まで走った。
部屋に戻ると、床に作業灯がある。
きのうから、ずっとそこにある。
ドアを開けて、二歩目のところ。
二回、つまずきかけた。
三回目からは、よけて歩くようになった。
よける、ということを覚えた。
二日で。
夕食は鮭のホイル焼き。
銀紙を開くと、湯気の下で、鮭の皮がまだ鳴っていた。