洗濯場
指先が、まだ冷たい。
朝、寮の洗濯場で、夕凪の手ぬぐいを洗った。
水が冷たい季節になった。
洗剤は少なめにした。
綿の布は、強くこすると毛羽が立つ。
タイヤの拭き布と同じだ。
絞って、物干しに広げて、洗濯ばさみを二つ。
それから、13周。
晴れ。路面は一日乾いていて、素直だった。
夕方、戻ったら、乾いていた。
取りこむときに、気づいた。
洗濯ばさみの位置が、朝のままだった。
誰も触っていない。
畳んだ。四つに。
端をそろえた。
部屋の椅子の背に、また掛けた。
洗っても、返したことにはならない。
それは分かっている。
返すなら、夕凪の部屋の戸を叩けばいい。
叩かなかった。
夜、食堂で、澪川が職員の返事を伝えた。
あすの午後、リンクの照明を半分落とす。
搬入口が開くのは、昼のあいだだ。
外のほうが明るい。
それなら、出る。
あすは走らない。
車庫で点検を済ませてから、リンクを見に行く。