アストライア・アカデミーの門を叩いてくださり、まことにありがとうございます。
本機関は、ある競技種目において稀有な才能を授かりながら、なお磨き上げられるべき余地を残された——そのような若き才媛を、年に数名のみお迎えする、超少数精鋭の教育機関でございます。
地上に最後まで残った正義の女神 ── Astraea の名のもとに
ギリシア神話に伝わるアストライアは、神々が次々と天へと去っていった青銅の時代にあって、最後まで地上にとどまり、人々のかたわらで誠実さの灯火を守り続けた女神でございます。やがて彼女が天に昇ったとき、その姿は星座となり、いまなお夜空に静かに輝いております。
本機関がこの女神の名を冠しているのは、けっして装飾のためではございません。
才能というものは、放っておけば消えてしまう、地上に残された最後の灯火に似ております。それを大切に守り、磨き、そして然るべき時に天へと送り出すこと——それが、わたくしどものお預かりするお役目でございます。
「育てる」のではなく、「磨き上げる」場所
本機関は、いわゆる伝統的な「学園」ではございません。歴史を誇るための機関でもなく、また広く門戸を開くための機関でもございません。
ここは、すでにご自身の競技種目における才能を確かにお持ちの方々が、その才能を**最後まで磨き上げる**ために集まる、閉ざされた島の静かな場所でございます。
学年も、上下関係もございません。在籍する皆様はみな、それぞれの競技の頂を見据える対等な志を持つ者として、互いに敬意をもって日々を過ごしておられます。
三つのお約束
本機関に在籍を許された皆様には、三つのお約束をいただいております。
ひとつ、ご自身の才能をいつくしむこと。
ふたつ、隣に立つ同志を敬うこと。
みっつ、ここで過ごした日々を、生涯の星座とすること。
結びに
一日一日が、皆様の競技の人生において取り戻すことのできない光でございます。
この島で過ごす時間が、皆様にとって最も眩しく、最も愛おしい時代となりますよう、わたくしども教職員一同、心よりお祈り申し上げます。
剱騎 小次郎