Heritage

沿 革

アストライア・アカデミーは、二十一世紀の初頭、ある実業家の私的な志のもとに、ひっそりと設立されました。
広く語られることを望まず、また広く知られることをも避けてまいりました。
以下に、当機関の歩みをお伝えいたします。

アカデミーの記録 ─ 古い書庫と封蝋の押された書簡群
2003 平成十五年
設立趣意の起草
創設者の私的な発意に基づき、超少数精鋭の閉ざされた研鑽機関の構想が起草される。当初構想では、若き才媛が外部の喧騒から隔離され、自律的に競技に専念できる場の創出が掲げられた。
2005 平成十七年
本島の取得
アカデミーの所在地となる本島が、創設者の手により取得される。島は当時、限られた漁業従事者と数戸の集落以外には人の往来がほとんど無い、静かな場所であった。
2008 平成二十年
主要施設の整備開始
陸上トラック、屋内アリーナ、寄宿舎の整備に着手。設計には複数の競技関係者および建築家が関わり、最終的に「研鑽の純度を最も高める」設計指針が採用された。
2011 平成二十三年
アストライア・アカデミー 開学
寄宿舎および主要施設の初期整備が完了し、アカデミーが静かに開学。当初の研鑽環境は、陸上競技、水泳、フィギュアスケートの三種目に対応する体制から始まった。
2014 平成二十六年
研鑽環境 拡張
研鑽環境にバレーボール、モーターレーシングを加え、現在の五専攻種目体制が確立された。同年、島内サーキットの初期工事が完了。
2016 平成二十八年
本土との定期航路 整備
本土との週二便の定期航路が整備され、職員の通勤、物資の搬入、在学生のご家族のご訪問等が円滑に行えるようになる。
2018 平成三十年
公式ウェブサイト 開設
それまで一切外部公開のなかった本アカデミーが、簡素なウェブサイトの開設を通じて初めて世間に存在を示す。プライバシーポリシーと利用規約もこのときに策定される。
2019 令和元年
各競技団体との連携体制 整備
国内外の各競技団体との間に、記録の公認および大会出場に関わる連携体制が整えられる。これにより、島内で刻まれた研鑽の記録が各競技団体において正式に評価される道が開かれ、在学生の研鑽歴が競技人生へ確かに接続されることとなった。
2020 令和二年
屋内アイスリンク 完成
念願であった年間を通して使用可能な専用屋内アイスリンクが完成。フィギュアスケート専攻の研鑽体制が大きく前進する。
2022 令和四年
海洋研鑽の本格導入
水泳専攻の研鑽体系に、屋内プールに加えて入江を活用した海洋研鑽が正式に導入される。安全管理体制の整備も並行して行われた。
2024 令和六年
図書塔・調整室 拡充
寄宿舎の共用空間として、専門書を中心とした図書塔と、心身の調整を行うための調整室が拡充される。在学生の自律的な研鑽を多面的に支える設備が整う。
2026 令和8年
現在
現学院長のもと、在学生たちが各専攻種目にて日々研鑽を積む。施設・職員体制は引き続き整備の途にあり、本アカデミーは今後も静かに、その本分を全うしてまいります。
Founding Statement

創設趣意(抄)

創設の銘 ─ 古びた壁に彫られた校訓のレリーフ

競技の純度を、保つために

我が国の若き才媛は、しばしば早い時期から、その才能を市場の評価の網にさらされる。メディアの論評、商業契約、世間の期待——それらは時に才能そのものよりも大きな声で、彼女らの日々に介入する。

勝敗や記録は、競技者にとってかけがえのない道標である。本アカデミーが距離を取るのは、その道標そのものではない。道標を取り巻く喧騒である。競技そのものへの集中を最後まで貫ける場を、若干名の方々のためにご用意することを目的として設立された。

自律という前提

ここに集う方々は、すでにご自身の競技種目において、自らの研鑽計画を立て、自らを律する能力を備えておられる方々である。本アカデミーは、その自律を妨げず、必要な設備・環境・生活基盤を提供することにより、各々の研鑽を最も純粋な形で支えることを使命とする。

日々の記録に挑むことも、その結果と向き合うことも、また自らの言葉で自らの日々を世に発信することも、すべてはこの自律の内にある。本アカデミーはそれらを制限せず、彼女ら自身の判断に委ねる。

したがって、本機関には、いわゆる「コーチ」や「指導者」を置かない。これは創設以来の方針であり、本アカデミーの最も大切な原則である。

共同体としての品位

少数の在学生は、競技種目を異にしながらも、共に同じ島で、共に同じ食卓を囲み、共に同じ夜を過ごす。この共同生活そのものが、外の世界では決して得られない、敬意と相互理解の場を生み出す。

本アカデミーは、施設や設備の充実以上に、この共同体としての品位の維持を、何よりも重んじてまいります。

結びに

本アカデミーは、これからも声高に語ることを慎み、静かに、しかし確かに、その本分を全うしてまいります。

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