アストライア・アカデミーは、二十一世紀の初頭、ある実業家の私的な志のもとに、ひっそりと設立されました。
広く語られることを望まず、また広く知られることをも避けてまいりました。
以下に、当機関の歩みをお伝えいたします。
創設趣意(抄)
競技の純度を、保つために
我が国の若き才媛は、しばしば早い時期から、その才能を市場の評価の網にさらされる。メディアの論評、商業契約、世間の期待——それらは時に才能そのものよりも大きな声で、彼女らの日々に介入する。
勝敗や記録は、競技者にとってかけがえのない道標である。本アカデミーが距離を取るのは、その道標そのものではない。道標を取り巻く喧騒である。競技そのものへの集中を最後まで貫ける場を、若干名の方々のためにご用意することを目的として設立された。
自律という前提
ここに集う方々は、すでにご自身の競技種目において、自らの研鑽計画を立て、自らを律する能力を備えておられる方々である。本アカデミーは、その自律を妨げず、必要な設備・環境・生活基盤を提供することにより、各々の研鑽を最も純粋な形で支えることを使命とする。
日々の記録に挑むことも、その結果と向き合うことも、また自らの言葉で自らの日々を世に発信することも、すべてはこの自律の内にある。本アカデミーはそれらを制限せず、彼女ら自身の判断に委ねる。
したがって、本機関には、いわゆる「コーチ」や「指導者」を置かない。これは創設以来の方針であり、本アカデミーの最も大切な原則である。
共同体としての品位
少数の在学生は、競技種目を異にしながらも、共に同じ島で、共に同じ食卓を囲み、共に同じ夜を過ごす。この共同生活そのものが、外の世界では決して得られない、敬意と相互理解の場を生み出す。
本アカデミーは、施設や設備の充実以上に、この共同体としての品位の維持を、何よりも重んじてまいります。
結びに
本アカデミーは、これからも声高に語ることを慎み、静かに、しかし確かに、その本分を全うしてまいります。