2026 . 9 . 23
最後の一本
いつものアリーナに、 きょうは五つぶんの気配がありました。
いつものアリーナに、 きょうは五つぶんの気配がありました。
右の手のひらが、 きょうはいつもより静かです。
「ちーちゃんは、記録会でなにを計るの?」
「五つでいいんですよね」
雲がひとつもない空の下で、 アリーナの窓だけが白く光っていました。
十六時すぎ、打ち込みの合間に、 一度だけ洗い場へ行きました。
38という数字を、 きのうから引きずっています。
汽笛が、午前の練習の途中で アリーナまで届きました。
もう書けないんじゃないかと、 すこし思っていました。
右の肩甲骨のあたりが、 きょうはよく動きました。
十一時半に、食堂へ行きました。
封筒が三通、机の上にあります。
雨の日のアリーナは、 床を打つ音が低くなります。
朝のアリーナは、 天窓から入る光が斜めで、 床に細長い四角がいくつも並びます。
封筒が三通、届きました。
渡すものが無いのなら、 使うものを用意すればいい。
「持っていくもの、ありますか」
夕方のラウンジは、 西日がななめに入って、 掲示板が金色になっていました。
午後三時、 通り雨があがったばかりの アリーナに入りました。
29本。