最初の音が鳴る前の、 あの静かさが、きょうは違った。
間に合った。
いつものアリーナに、 きょうは五つぶんの気配がありました。
書いてしまえば、 たった四文字でした。
十種目って、多いなあ。
ふわ、っていう あの浮く瞬間の感じ。
ノートの頁に、時刻が二つ並んでいる。
右の手のひらが、 きょうはいつもより静かです。
しゃら、しゃら、と 水の音がよく聞こえる日でした。
机の前に、紙が一枚。
小雨の日のリンクは、 氷の上の音がいつもより近い。
「ルナっぴ、車庫まだ空っぽなの?」
「ちーちゃんは、記録会でなにを計るの?」
「まこるん、その表、あとどのくらい?」
10本、10本、また10本。
「おかえりー!」
車の無い運転手というのは、 たぶん間抜けな見た目だと思う。
「五つでいいんですよね」
昼の海が、きょうはよく光っていました。
桟橋の柱に、 船をつなぐ太いロープが 巻きつけてありました。
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