「最初のひと言は、あたしが取るから」
雨の桟橋で、木箱が一つずつ下ろされていった。
小雨が、海の色をすこし薄くしていました。
16本。
掲示板の紙は、まだ画鋲の頭がぴかぴかだった。
二日目。
「鳴ったら鳴ったでいいだろ」
食堂の湯呑みは、白くて、すこし厚手です。
食堂の窓の外で、職員の方が、 中庭の銀杏の葉を掃いていました。
きょうは勝てると思ってたんだけどなぁ。
午前五時すぎ。
計時器なんて、ただの箱だと思っていた。
手のひらが、まだ少しじんじんしています。
朝、手首に指を当てて、脈を数えました。
くぅ〜、きゅるる。
部屋の床が、白い紙で埋まってる。
指の腹に、ハンドルの縫い目が残っている。
郷土料理の本の、表紙の角が、 すこしだけ丸くなっていました。
ざっ、ざっ。
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